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東京海洋大学研究者インタビュー「海洋から未来を切り開く」

Q 現在の研究テーマを分かりやすく教えてください。

脂肪酸という物質に着目して研究しています。「DHA」や「EPA」という言葉を聞いたことはありますか? これらはサバやマグロなど、いわゆる「青魚」に多く含まれている多価不飽和脂肪酸と呼ばれる必須栄養素で、最近では「健康に良い」として注目されるようになっています。このDHAやEPAがなぜ魚に多く含まれているのかというと、実は魚自身がこれらを作っているわけではありません。DHAやEPAというのは海の中で食物連鎖の下位にいる微細な生き物によって作られ、それが食物連鎖の上位の生き物に食べられていく過程で蓄積されているのです。私の研究は、実際に海の中でどうやってDHA や EPAができて、それが上位の生き物に蓄積されていくのかということを、より詳細に解明していくことを目的としています。
DHAやEPAを作る微細な生き物(特に藻類)は、気候変動の影響を強く受けることが明らかになりつつあり、今後DHAやEPAを作る量が大きく変わるといわれています。特に水温が上がると作る量が減るといわれていて、生態系の中でどうやってそういう大事な物質が作られているのかということを解明するのは非常に重要なテーマになっています。いままでは非常に微細な藻類や原生生物、細菌といったものが作っているとされていたのですが、私は生態系の食物連鎖のかなり低いところにいる動物に特に着目してきました。そしてこれまでの研究で実はそういった動物たちにもDHAやEPAを自分で合成する能力があるということが分かってきました。そうなるといままで考えられていた微細藻類が主に作っていて動物はそれを食べて蓄積していっているというストーリーではなくて、実は動物が結構重要な役割を果たしている生態系があるのではないかということに着目して、研究を進めています。
現在の研究テーマ
Q 研究に取り組み始めたきっかけを教えてください。

大学生の時に、脂肪酸に関するテーマを指導教員から与えられて研究していたのですが、一生懸命研究をしても全然うまくいかなくて、結局何にもならない結果が出るということが普通でした。それでもやっていて楽しくないと思ったことが一度もありませんでした。どんなに思ったような結果が出なくても、もしかしたら次はうまくいくかもしれないということを常に考えて、いつもワクワクしながら研究を続けていました。他にも色々なことに興味を持って手をつけてきたのですが、うまくいかなくても楽しく続けられるということはありませんでした。もともと研究者になりたかったのですが、やってみないと自分が向いているか分からない。そう思っていた時に、研究なら大変なことでも楽しくできるということが自分の中で腑に落ちて、研究者を目指そうという気持ちが固まりました。
Q 研究の大変な点や、面白さを教えてください。

常に大変ではあるのですが、大変をどう感じ取るかということですね。やりたくないことをひたすらやるという大変さと、やりたいことがいっぱいあり過ぎるという大変さは、同じ大変でもかなり違うと思います。私はやりたいことがいろいろありすぎて大変だという感じで研究をしています。
こんな風になったらいいなとか、こうしたら面白いなという考え方はたくさんあるのですが、実際にやってみたら全然そんな風にはならなかったり、それを支持するような結果は得られないことの方が圧倒的に多いです。90%以上はそのパターンといっていいでしょう。学生にも、こうなったらすごいよねということで研究テーマを与えるのですが、ほとんどの場合が不時着となります。その中で、稲妻が輝く瞬間というのがあります。それは狙って起きる時もあれば、思ってもないところから「え!」っていうようなことが起こるのが研究なので、そういう瞬間を一度でも体験すると病みつき状態になります。なので大変な中でもそういう瞬間が訪れることを信じて研究を続けています。
研究の面白さややりがい
Q その研究の未来を語ってください。
:短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)

短期的には、いま着目している生態系があって、一体誰がDHAやEPAを作るプレイヤーとしてその生態系に働いているのかということが、2年3年である程度わかってくると思っています。
さらに10年というスパンで考えたときには、特定の生態系だけではなくて、もう少し世界を広げて、他の生態系との繋がりはどうなっているかといったことも含めて研究していきたいと思っています。
あとは、DHA や EPAを作る生き物がいままではかなり限定されていると思われていたのですが、実はもっと幅広い動物が実際にDHAやEPAを作っているということが分かってきました。そういった生き物を養殖したり大量に培養するというようなことができるようになれば、それをDHA や EPAのソースとして利用するということも考えられます。自然からとってきた生き物は簡単に養殖できるわけではなく、養殖しやすい生き物もいれば難しい生き物もいます。まずは試してみないと分からない。これまであまり着目されてこなかった生き物たちも、EPA や DHAを合成できるかできないかというポイントで見ることによって、もしかしたら面白いかもしれないと思える生き物が見えてきています。実際にいくつかの種類は飼育実験を進めているところです。
Q 研究は、SDGsのどの目標に貢献できますか。

「目標14:海の豊かさを守ろう」
「目標15:陸の豊かさも守ろう」
まずは「目標14:海の豊かさを守ろう」が挙げられます。あとは結局色々とつながっているので、「目標15:陸の豊かさも守ろう」ということも考えるきっかけになってきます。
昆虫を研究している人や森林を研究している人、いま色々な研究者と共同研究をはじめているのですが、そういったところでもやはり生態系の中で脂肪酸のやり取りの流れがあって、最終的に土壌と海洋、土壌と河川というふうに繋がっていく脂肪酸の大きな流れが見えてきて、面白いなと思っています。
Q 東京海洋大学で研究する良さはどんなところですか。

海の生き物に興味を持ったモチベーションが高い学生が揃っていて、そこは非常に良いと思っています。逆に見ている世界が狭くなってしまうという懸念もあるので、違うジャンルの研究者や海を対象としていない研究者と共同研究をやったり、そういう人たちに話してもらったり、ミーティングや学会に参加してもらったり、学生たちの視野を広げるということにも気を配っています。
Q 研究を行う上で大切にしていることやポリシーを教えてください。

いま一番大切にしているのはチームを作ることです。一人ひとりの学生の特性に合わせて、頑張りたいという気持ちが最大限になるようにサポートすることが一番大事なことで、一人ひとりがハッピーに研究できるようなテーマを与えてあげられたら効率も上がるし楽しく研究ができる。そうすると不思議と面白いデータが出たりするんですよね。つまらない、しんどいと思って研究をやっていると、せっかくすごい発見をしていても、たまたま偶然だろうとか、場合によっては単なるミスだと思って見逃してしまうということが起きるんです。自信過剰は良くありませんが、常に面白いと思って研究に取り組める、ポジティブなエネルギーを持ったチームを作りたいというのがいま一番大切にしていることです。
Q 研究に疲れた時のリフレッシュ方法を教えてください。

研究に疲れた時は別の研究をしたり、論文を書いていて疲れた時は手を動かしてみたり、魚をじーっと見つめてみたり、サンプリングに行って生き物を探してみたり。それから音楽を聴いたり、まだ小さい娘と思いっきり遊んだりして気分を入れ替えています。
大きく落ち込むことがあっても、一晩ぐっすり寝れば次の日には割とあっけらかんとしている方です。でも疲れていると見落としがあったり、頭がよく回らなくなってしまうので、睡眠はきちんととるようにしています。
Q 研究者を目指す人へのメッセージをお願いします。

色々な人の指導や、色々な人の考え方や研究者それぞれの哲学をたくさん聞いて、どれが正解でどれが間違っているのかということではなくて、色々な人に影響されながら自分の中でひとつのものを作っていって欲しいということがひとつ。
あとは直感を信じて進むというのが結構大事だと思います。本当はこうしたかったけど色々な都合によってこうするしかない、ということはなるべくやらないほうがいい。本当にやりたいものがあるのなら、それは自分の中で大切に温めて、できるようになったらそれをやる。研究者として独り立ちしたときには自分の世界を作らなければいけません。そのときのために、本当にやりたいことや、直感で面白そうだなっていうことを自分の中で大切にしていて欲しいと思います。

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