- Q 現在の研究テーマを分かりやすく教えてください。
↓
-
研究テーマは組合せ最適化です。トラックに荷物を積むときにできるだけ充填率を上げて詰むための配置や、宅配便がお客さんを回って荷物を配送する順序など、世の中の多くの問題は組合せ最適化と呼ばれる、配置や順序、割り当てといったものを求める問題として表現できます。そういうモデルに対して最適化手法を開発するという研究をやっています。
- Q 研究に取り組み始めたきっかけを教えてください。
↓
- 学生時代から数学が好きだったのですが、それを応用して社会に役立つものを作る工学により興味がありました。大学に進学するときに数理工学科と情報工学科が合わさった情報学科という新しい学科ができて、自分の興味と時流に合うと思って進学し、組合せ最適化を研究している研究室に入り、卒業論文のテーマは配送計画問題でした。その流れで組合せ最適化と配送計画問題を研究し続けてきて、いまに至っています。
- Q 研究の大変な点と、面白さややりがいを教えてください。
↓
-
大変なのはプログラミングのデバッグです。正常に動作すればいい良いのですが、動かなかったら、どこがダメかというのを一つひとつ順番に見ていかなければならない。プログラムが1万行になっていたら、1万行を順番に見ていかないといけないんです。
プログラムがちゃんと動いたとしても、その後で実験をたくさんしないといけない。完璧な方法を生み出すのは難しいので、色々な手法で出した実験結果、大量の数値データを比べて、良いか悪いかを考えるというのが大変なところです。
面白いところは自分のアイデアをプログラムという形にしてすぐ動かすことができる。計算機だけあればできるので、誰かに手伝ってもらったり、データを集めたりといったことは必要なくて、プログラミングができればすぐに動かせる。動くと楽しいし、思った通りの結果が出るとうれしいし、そのまま社会に役に立つこともある。そこがやりがいだと思います。
- Q その研究の未来を語ってください。
:短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)
↓
-
現実の問題を数理モデルに記述して、その数理モデルに対して解法を設計しているのですが、現実の状況が変わると問題設定が変わってきます。最近ではセンサー等で様々なデータを容易に取得できるので、そういうデータを使った数理モデルが考えられるようになっています。
将来的には、自動運転の進化に伴い、さらに問題設定が変わってくるだろうと思っています。あとは、例えば少子化や過疎化が進むと小学校が不要になって、代わりに老人の介護施設が必要になると、どの学校を閉鎖して、どこに新しい介護施設を作るか、といった新しい最適化問題が発生します。そういった新しく発生する問題も考えていかなければいけないのではないかと思っています。 - Q 研究は、SDGsのどの目標に貢献できますか。
↓
-
「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
現実の問題を表現した数理モデルに対する最適化手法の設計は、現実の産業現場での最適化問題の基礎研究として貢献していると思います。 - Q 東京海洋大学で研究する良さはどんなところですか。
↓
-
流通情報工学科には、ロジスティクスに焦点を当てて研究を行っている専門の人がいます。
ロジスティクスでは、配送計画問題や配置問題など最適化の対象となるものがたくさんあると思っています。ロジスティクスに関する研究者が集まっている中で研究するというのは、ロジスティクスの最適化を研究するよい環境だと思っています。 - Q 研究を行う上で大切にしていることやポリシーを教えてください。
↓
- 世の中の役に立つように、数理モデルを設計し、最適化手法を開発するということを念頭に考えています。あとは数学的な証明やアルゴリズムの設計やプログラミングの正当性をよく検証する。自分は合っていると思っていても間違えている可能性があるので、そうならないように一つひとつきちんと検証しながら進んでいくということを心がけています。
- Q 研究に疲れたときのリフレッシュ方法を教えてください。
↓
- コーヒーを飲む。あとは散歩に行ったり、ご飯を食べに行ったり。昔は泳いでいたのですが最近は全然泳いでいないです。
- Q 研究者を目指す人へのメッセージをお願いします。
↓
-
何を研究するかが最も重要だと思います。
社会的に求められる研究で、かつ自分自身が取り組んでいて楽しいものを見つけられれば、幸せな研究人生を送れると思います。



