- Q 現在の研究テーマはなんですか。
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小型かつ高性能な熱交換器として注目されている、積層型マイクロチャンネル熱交換器の性能評価を行っています。
現在、地球温暖化の影響により環境負荷の大きい冷媒の使用量削減が求められており、次世代低GWP冷媒(GWP:地球温暖化係数)への転換が進められています。しかし、次世代低GWP冷媒は従来の冷媒に比べて伝熱性能が劣るため、現在の熱交換器の性能を維持する上で熱交換器の大型化が懸念されています。そうした背景から、小型かつ高性能な積層型マイクロチャンネル熱交換器が注目されています。
積層型マイクロチャンネル熱交換器は、流路を拡散接合(加熱?加圧し材料を密着させる方法)により積層させていることから耐圧性に優れ、高圧条件下でも使用が可能です。流路はエッチングによって形成されるため加工自由度が高く、小さな流路も形成することができます。この熱交換器に関する知見は十分ではなく性能の解明が必須となります。このような背景から本研究に取り組んでいます。 - Q 研究に取り組み始めたきっかけを教えてください。
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研究室を選ぶ段階で、地下大輔准教授から「環境負荷低減への取り組みとして、廃止となった特定フロンからGWPの低い新規代替冷媒への転換期に立ち会い、新しい冷媒への移行を支える研究ができる」という説明を受けて面白さを感じ、研究に取り組みたいと思いました。
- Q 研究の面白さややりがいを教えてください。
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実験は、自分たちでスケジュールなどを考えて実施し、その結果から考察を行い、さらに必要なデータなどを考えて改めて実験する、ということの繰り返しですが、最終的にその結果をまとめて学会などで発表することに達成感や面白さを感じます。
国際学会では英語で発表したり、外国の研究者の方とディスカッションをしたり、他大学の学生や企業の方、本学のOBの方との交流もあり、よい経験となっています。 - Q 研究の大変な点を教えてください。
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国際学会での論文発表です。英語での論文執筆は初めての経験だったので、構成や考察を英語で表現することに苦労しましたが、先生や先輩方のサポートで乗り越えることができました。
- Q 研究によって、どのような社会的インパクトが期待できますか。
短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)を教えてください。
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短期的には、新規代替冷媒の特性解明や性能向上に貢献できていると考えています。
長期的には、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、冷凍空調技術およびヒートポンプ技術の向上により,省エネルギー化を進めていくことができます。また,冷媒充填量の削減や自然冷媒への転換が期待でき,環境負荷の低減に貢献できます。 - Q 研究が貢献するSDGsの目標
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- 「目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」、「目標13:気候変動に具体的な対策を」に貢献できると考えています。
- Q 東京海洋大学に入学するにあたり、影響を受けた人や出来事はありますか。
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- 高校の時の担任の先生に教えていただいて本学を知りました。そこから自分で調べていくうちに、乗船実習といった他の大学では経験できないことがあると知りました。
- Q 東京海洋大学を選んでよかった点を教えてください。
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- 学生の人数が少ないので先生との距離が近いこと。東京海洋大学ならではの他にはできない経験ができること。乗船実習では真夜中に甲板へ出て見た夜空の美しさに感動しました。
- Q 腾博会官网9885への進学を決めた理由を教えてください。
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- 3年生の後半から研究室に配属されて、研究の面白さはもちろんなのですが、研究活動の中でプレゼンテーションスキルの向上なども自分の成長につながると思ったので進学を決めました。
- Q 将来の夢や目標など、目指すキャリアを教えてください。
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- 冷媒の転換に立ち会うとともに、研究を活かして人々の生活に貢献できる仕事に就きたいと考えています。
- いま、修士博士課程に進学を検討している方へメッセージをお願いします。
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- 初めから大きな目標がなくても、研究を進める中で少しずつ面白さを見つけることができると思います。専門性の高い知識が得られることはもちろん、自分の将来を考えるうえで新しい経験や時間が生まれてくるので、自分は進学してよかったと思っています。
- 神山将太郎さんのOA論文はこちら
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論文標題: Experimental study on heat transfer and pressure drop of R454C and R32 in layered microchannel heat exchanger
著者?共著者:Shotaro KAMIYAMA, Ryogo NOGUCHI , Daisuke JIGE , Norihiro INOUE 掲載誌:Proceedings of International Conference on Sustainability and the Cold Chain(ICCC2024)
発行年月:2024年6月
DOI: 10.18462/iir.iccc2024.1111