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東京海洋大学研究者インタビュー「海洋から未来を切り開く」

Q 現在の研究テーマはなんですか。

高感度分析法を用いた亜熱帯海域における栄養塩動態です。亜熱帯海域の表層には窒素やリンといった栄養塩が極めて低濃度で存在しています。このわずかな栄養塩を高感度で測定する技術を開発し、その分布や循環を把握することが研究の目的です。
研究テーマ
Q 研究に取り組み始めたきっかけを教えてください。

植物プランクトンはCO?を吸収して有機物をつくる光合成を行っており、地球のCO?濃度を調整しています。植物プランクトンの光合成には栄養塩が必要ですが、特に亜熱帯海域では光合成が行われているにもかかわらず、それを支える栄養塩供給プロセスがよくわかっておらず、謎となっています。この謎を解明するために高感度分析技術を駆使した栄養塩動態の研究をはじめました。また、海洋における栄養塩の分布や循環を調べることは、植物プランクトンのCO?吸収メカニズムの解明に繋がり、地球環境の現状把握や将来予測にも貢献できると考え、研究に取り組んでいます。
Q 研究の面白さややりがいを教えてください。

高感度で栄養塩を測るためには新しい分析法の開発が必要で、それを確立することが大変でもあり、やりがいのある部分です。従来の吸光光度分析では、1センチのセルに光を当てて吸収される光(吸光度)を測定するのですが、それでは亜熱帯海域における低濃度の栄養塩を測定することは困難でした。そこで、吸光度を高めるためにLWCCという0.5~2.0メートルの細くて長いセルを採用したのですが、それを分析システムに組み込むことが難しくて簡単にはいきませんでした。測定の際、海水に試薬を反応させて色をつけてセルに送るのですが、試薬の濃度を調整したり、セル内での詰まりや流れを改善したりして、試行錯誤しながらようやく確立することができました。
研究テーマ
Q 研究によって、どのような社会的インパクトが期待できますか。
短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)を教えてください。

短期的な貢献としては、新しい手法を確立し、現場観測に導入することによって、亜熱帯海域の栄養塩に関する新しいデータが得られるようになります。そのデータを解析することで新しい栄養塩動態像が明らかになるので、その成果公表は数年で成し遂げることができます。

長期的な貢献としては、本学が所有する汐路丸を使って亜熱帯海域の栄養塩等の環境モニタリングを2022年からはじめています。コンピューター上で予測できることもたくさんありますが、実際の海をみて何が起こっているかをしっかり把握していないと、現実を見失うことになります。練習船がある大学でこそできる実海域モニタリングを10~20年間継続することは、激変する地球環境を理解する上で極めて重要な取り組みになります。
Q SDGsへの貢献についてはいかがですか?

私たちの研究は「目標13:気候変動に具体的な対策を」と「目標14:海の豊かさをまもる」という目標に当てはまります。海洋生態系の一次生産者である植物プランクトンのCO?吸収メカニズムの解明は、気候変動対策や生態系保全に役立つ成果になると考えます。
Q 東京海洋大学で研究する意義はなんでしょうか。

練習船を使った現場観測が可能な、数少ない大学の一つです。船を使って海洋環境を直接把握することで、シミュレーションでは得られない現実のデータを収集できます。このような現場ベースの研究を実現できる東京海洋大学の環境は、私の研究テーマを推進する上で大きな強みです。
Q 研究ポリシー

様々な学術論文のレビューや学術会議への参加を通じて、新しい情報をたくさん仕入れることです。それによって新しいアイデアが生まれるので大切にしています。また、練習船による海洋観測は一人ではできません。船長をはじめ船員さんや一緒に共同研究する研究者を大切にしつつ、そういったコミュニティを広げることも大切にしています。
橋濱史典准教授のOA論文はこちら

論文標題: Nanomolar phosphate supply and its recycling drive net community production in the subtropical North Pacific
著者?共著者:Fuminori Hashihama, Ichiro Yasuda, Aki Kumabe, Mitsuhide Sato, Hiroshi Sasaoka, Yosuke Iida, Takuhei Shiozaki, Hiroaki Saito, Jota Kanda, Ken Furuya, Philip W. Boyd, Masao Ishii
掲載誌:Nature Communications 発行年月:2021年6月
DOI: 10.1038/s41467-021-23837-y

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