- Q 現在の研究テーマはなんですか。
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「人間を中心とした操船支援システム」で、その中でも特に自動離着桟制御に取り組んでいます。
- Q 研究に取り組みはじめたきっかけを教えてください。
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- 私が本学4年生時の卒業研究で、船のオートパイロットのシステムを実際に作成して、大学の船を操船したのですが、それがとても楽しかったことがきっかけで、研究の道に足を踏み入れることになりました。
- Q 研究の面白さややりがいを教えてください。
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大きな船が自分のプログラムによって自動で動くということが理屈抜きに楽しいです。
現在取り組んでいる自動離着桟制御では、船の大きさに対して舵やプロペラといった制御アクチュエーターのパワーが小さいため、操船することが非常に難しいです。自動車はハンドルを切ると即座に反応しますが、船は舵を切ってから反応が出るまでに時間がかかるので、風や波の影響を考慮しながら先読みしなければいけません。しかも船にはブレーキがないので、着桟時に止まるということを前提に制御するのですが、速度を落とせば落とすほど操縦性が下がります。そういったことを踏まえて、センサーを使って先を予測しながらプログラムで制御を可能にしていくことは、難しいからこそやりがいがあります。
- Q 研究によって、どのような社会的インパクトが期待できますか。
短期的なもの(1?2年後程度)と長期的なもの(?10年後)を教えてください。
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短期的には、自動離着桟に関しては、日本財団の無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」として取り組みを進めている三井E&S造船に協力する形で動いています。このプロジェクトは、2040年には国内を走る船の50%が無人運航船となることを目指しているもので、それに先駆けて2025年に実際の船にプログラムを乗せて船を操作するという社会実装が予定されており、現在そのためのプログラム開発が大詰めを迎えています。2022年にも実証実験を行いましたが、今回は別の船種でより難易度の高い実験に挑んでいます。
長期的には、自動離着桟を含む船舶の自動運航システムによって、船員不足や高齢化、それに伴う技術の継承といった課題の解決にも貢献できると考えています。 操船をプログラムによって簡略化することで、より安全な船舶運航ができるようになります。無人化を目指しているのではなく、安心して操船できるように制御でサポートするという視点を大切にしています。 - Q 研究は、SDGsのどの目標に貢献できますか。
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「目標14:海の豊かさを守ろう」に貢献しています。
船舶の事故は着桟時が非常に多く、重油の流出等で環境に悪影響を与えるケースもあるため、海難事故の削減が環境保護に直接つながると考えています。 - Q 東京海洋大学で研究する意義はなんでしょうか。
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- 船の自動制御は、やはり船の操船を理解しているエンジニアが開発する必要があります。そういう意味で、東京海洋大学で研究することに大きな意義があると考えています。
- Q 研究を行う上で大切にしていることやポリシーを教えてください。
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- 私たちの研究室では、「ユーザーである人間を中心としたシステム開発」をポリシーとしています。現場で使われなければ意味がないため、常に実用性と人間の操作性を考慮したシステム開発を目指しています。